昔のブログ~好きな曲編

「愛、おぼえていますか。」(2019年03月17日)

 今回はベタなネタ、「初めて買ったレコード」ってやつを。

 小学生の時にファーストガンダムをリアルに見ていた私は生粋のガンダムオタクである(ただし宇宙世紀限定)。ガンダムが社会現象となったその時代に同じくヒットし、今もシリーズが続いているのがマクロスシリーズである。このマクロスの劇場版の「超時空要塞マクロス 愛、おぼえていますか。」の主題歌、飯島真理さんの歌う「愛、おぼえていますか。」が、初めて自分で買ったレコードだったのである。

 実はこの曲、映画を見て好きになったわけではない。もっと言えば、アニメと関係あることすら知らずに好きになった。初めて聴いたのはラジオ。ある日何気なく聴いていた番組で流れていたのだが、誰の何と言う曲かもわからなかった。「あ、この曲いい!」と思ったが、結局その時は曲名も歌っている人もわからなかった。マクロスは見ていたので、飯島真理さん、というかリン・ミンメイ(飯島さんが声を演じていたアニメのキャラ)の声は知っていたのに・・・。
 その後、テレビで映画のCMがバンバン流れて、この曲だというのはすぐにわかった。

 劇中の大事な場面で流れる、というかヒロインが歌唱するわけなので、ある程度ストーリーを意識した歌詞ではあるが、そのまま聴けば普通に出会いを歌ったピュアなラブソングである。当時のアニソンとは一線を画したところであろう。
 また、この曲を初めて聴いた時に、直感的に「宇宙」を感じた。歌詞にはそんなフレーズは一切ないのに。で、CMでこの曲のバックに映画の宇宙の映像が流れているのを見たときは本当に驚いた。「あ、マクロスだ」「あっ、あの時の曲だ!」「えっ!宇宙?!」とまあ、軽くパニックになったものだ。
 今にして思えば、当時のアニソンらしくない安井かずみ・加藤和彦夫妻の作詞作曲であるためか、アニメを意識しなくても聴けるし、アニメの世界観もそのまま持ってもいるという曲で、中学生の私が直感的に感じた良さが、実はこういった背景からもうなずけるものだったんだろう。

 当時の話に戻るが、中学生の私なりに、こういう感覚になったのは何かの運命だと感じ、たとえこの曲が流行らなくても、この曲はずっと手元に置いて、いつでも聴けるようにしておかなければと思い、生まれて初めてレコードという形で入手したのである。
 まあ、流行らなくても、などという無駄な心配をよそに、アニソンという枠を超越してヒットし、いまだにどこかで耳にする曲になったのであるが。

 そして35年たった今でも、私の手元にこのレコードは存在するのである。

 

愛、おぼえていますか。
 1984年6月5日発売
 作詞 安井かずみ
 作曲 加藤和彦
 歌  飯島真理

 

「染まるよ」(2019年06月13日)

 私は煙草を吸わない。というか、今は吸っていない。詳しく書くのは憚られるが、非合法な頃から吸いはじめて、現役バンドマンの頃は結構ヘビーに吸っていた時期もあった。
 煙草をやめたのは10年半ぐらい前。当時の仕事の職場では分煙が進み、11階から4階まで煙草を吸いに行かなければならなくなっていた。ある日、煙草を吸いに4階に行き、ちょうど煙草がなかったので、そこにある自販機で買おうと思ったら、財布の中には小銭が数十円と一万円札のみ。実はその自販機は一万円札が使えなかった。その場にいた同僚に借りることはできたのだが、このちょっと前に思うところがあったため、これを機にやめられるのではと考え、買うのをやめた。で、それ以来一本も吸っていないのである。
 実はその「思うところ」というのは、チャットモンチーの「染まるよ」を聴いたことだった。

 私とチャットモンチーとの出会いは、深夜にテレビを見ていたら「働きマン」というアニメをやっていて、そのエンディング曲が「シャングリラ」だった。その曲を聴いて一発で好きになり、それからはアルバムもシングルもすべて買ってしまうほどのファンになってしまったのである。

 「染まるよ」はチャットモンチーの十枚目のシングルとして発売された曲である。プロデュースは私の尊敬する亀田誠治。スローなナンバーなのだが、これがまたカッコいい。特に後半の転調するところはお気に入りである。実はこの曲、歌詞の内容が煙草にまつわるものなのだ。
 私の解釈なので正しいのかは不明だが、自分は喫煙者ではないのに、夜道で別れた彼の好きだった煙草を吸って、煙が目にしみたり、「後味サイテイ」だったりと、その彼と煙草を重ね合わせて・・・というところから、最後には「煙が雲になって朝焼け色にそまる」と新たな一歩を、いう内容だと捉えている。まあ、詳しくは歌詞を検索してほしい。

 この曲を聴いて非喫煙者の喫煙者に対する考えみたいなのに衝撃を受けた。「煙草嫌い」「くさい」「健康に悪い」などと非難の声はよく聞くが、こういう感性もあるんだと気づくとともに、カッコつけて煙草を吸っていた自分がなんか恥ずかしくなったのである。
 そこで、タイミングよく先述の機会が訪れたため、一大決心・・・・・・・・・というわけではなく、「なんかカッコ悪いかな」って感じでとりあえずやめてみた。また吸いたくなったら吸うだろうな、みたいな感じで。煙草をやめることを目的としているわけではなく、煙草を吸っている自分がカッコ悪いというところにあるので、意外にもその後は吸いたい気持ちにならなかった。で、そのまま10年が経過し、今に至るのである。そのチャットモンチーもすでに解散してしまっている。

 影響を受けた音楽はいろいろあるが、実生活に影響を受けたというのはこの曲だけかもしれない。今の自分が元気に生きているのは、チャットモンチーを好きになったおかげかもしれない。

 

染まるよ/チャットモンチー
 2008年11月5日発売
 作詞 福岡晃子
 作曲 橋本絵莉子

 

2024年01月27日